ここでは、デザイン思考を活用したソウゾウリョク溢れる学びの場づくりと、探究型学習との繋がりについてご紹介します。
「デザイン思考」は、課題の発見と解決、イノベーションや組織変革の手法として体系化された思考法です。単にモノの色やかたちを整える為の手段ではありません。デザイン思考の考え方とプロセスには探究型学習と重なる部分が多くあり、両者は高い親和性を持っています。
近年、デザイン思考は、ビジネス界で大きく注目されるようになった他、2020年に東京大学が全学展開したことも話題になりました。この思考法を中高生の探究活動にも活用できるように再構築したのが、本学の「デザイン思考を活用した探究型学習プログラム」です。
本学では、デザイン思考を独自に定義しなおし、「探究的な学び」を促進する6つの特徴を以下にまとめました。
1)安心かつ創造的な活動を行うための空気をつくる
グループ活動の前に、その場に適したアイスブレイクを行うことで、各自が柔らかく思考できるようになり、安心して発言できるようになります。
2)多様な他者と協働する
一人では視野が狭くなりがちなことも、周囲の人達と協力して活動することにより、幅広い視野で物事を捉えることができます。
3)失敗から学ぶ
結果を気にせず気軽に行動すること、そして、小さな失敗の積み重ねから学ぶことにより、確かな成功へと近づくことができます。失敗を恐れずに行動するマインドも獲得します。
4)考えたアイデアを可視化する
頭で考えたことを言葉で伝えるだけでなく、簡単なイラストやプロトタイプ、ロール・プレイングなど目に見える形にすることで、他者とアイデアを共有しやすくなります。
5)相手に共感し、深く理解する
インタビューや観察、自らの体験をもとに、当事者のメガネを通して見ている世界を理解し、当事者が抱える課題の核心を捉えます。
6)発散と収束の繰り返しから考えをまとめる
「情報を集める」「アイデアを広げる」発散の時間と、「課題の核心を見出す」「アイデアを選び、統合する」収束の時間をはっきり分けて活動することで、創造的かつ建設的な提案が生まれます。
上記に加え、デザイン思考と探究型学習の繋がりについて理解を深めるために、以下のように5つの活動に分けて授業を設計しています。
以上のように、「デザイン思考」を理解することは、課題発見・解決に必要となる手法や心構えを身に付けることに繋がります。
そこで得た気づきと経験は、子どもたちが歩む未来においても、粘り強くあらゆる課題にチャレンジし、ソウゾウ的に解決していくための大きな味方であり続けます。
デザイン思考の手法を通して、先生と生徒の間に進め方や考え方に関する共通理解が生まれることも大きな利点です。先生と生徒がベクトルを合わせることで、両者が掛け合い、探究しあえる教室(空間)づくりに繋がります。
デザイン思考を活用した探究型学習プログラムの実施後、以下の声が寄せられています。
〈教員研修後の先生方の声〉
〈デザイン思考の授業を受けた生徒の声〉
本学のプログラムでは、探究活動に効果的なマインドやスキルを習得できる様々なワークを用意しています。5〜10分ほどの短いものもあり、専門科目の授業の中で一部を切り取って活用することも可能です。先生それぞれのスタイルに合わせて活用、展開ください。
また、デザイン思考の活用をサポートする資料として、授業の流れやポイント、各種ワークの進め方を指導案の形にまとめ、無料配布しています。
先生方や学校それぞれに異なるご要望、ご相談にお答えする相談室も開設していますので、併せてご利用ください。
山形東高校「山東探究塾」
山形西高校「総合的な探究の時間」
東桜学館中学校「未来創造プロジェクト」